日弁連総会の投票方法に関するメモ

日本弁護士連合会の総会は、予算や会則を議決する権限を有する重要な機関である(日本弁護士連合会会則34条)。

ただ、そもそも出席しない会員が圧倒的多数であるし、委任状だけ出して出席しない会員も多数であることから、どのような手続により議事を行うのか会員に知られていないようにも感じられる。

たまたま、当職は、続けて臨時総会に出席する機会を得たので、総会での投票の方法について覚えている範囲で記録を残しておくことにしたい。

 

総会の委任状

一般的には、次のような記載のある全部一任の委任状を、空白部分(受任者及び受任者の登録番号)を白紙のまま出すよう暗黙の命令みたいなものお願いがあることが多いであろう。

代理人選任届

私は     会員(○○弁護士会所属:登録番号     )を代理人として選任し○○○○年○月○日開催の日本弁護士連合会定期or臨時総会の各議案につき議決権を行使する権限を授与するとともに、同総会における議長及び副議長の選任、動議、議案の修正並びに原議案と関係する事項に関する議案についての各賛否その他一切の議決権の行使は代理人に一任しましたのでお届けします。

事前配布される総会の議案書には、全部一任する委任状の書式しか添付されていない。ただ、その形式でなければダメということではなく、次のように、個別の議案への賛否を表明できる書式も通用している。

なお、私の各議案についての賛否は、下記(○印)のとおりです。

議案\賛否 賛成 反対 賛否一任
第1号議案 預り金規程の一部改正  ○
第2号議案 依頼者見舞金制度

賛否がバラバラな複数の委任状を預かっていても大丈夫で、総会に出席した代理人は議決権を分散行使することができる扱いとされている。

当会でも、昨年までは全部一任の委任状により案内していたので、議決権が分散行使できることを知らなかった会員もいたようである。実際、ある大ベテランから「あれは何で全部一任しなきゃならんのか疑問に思っていた」と言われたことがあった。

 

総会での投票方法

総会に行くと、受付で日弁連の人に行使する票数の確認をされる。

全部一任の委任状を預かっている人は、委任状の通数が書かれたカードを渡される。

個別の議案に対する賛否を明らかにする形式の委任状を預かっている人は、最初に審議される議案について、賛成及び反対の各票数の書かれたカードをそれぞれ渡される。議案が複数ある場合には、預かっている賛成と反対の各票数が議案によって変動することもあるが、その場合、各議案の投票前に会場から出て票数の書かれたカードを日弁連の人に書き直してもらう手続を行う(やや面倒)。

なお、単位弁護士会の会長の持っているカードは「会長」と記入される。

これらのカードを持って会場に入る。投票時には議場が閉鎖され、それぞれ次の順番でカードを持って手を挙げる。

  1. 賛成する出席者の票
    日弁連の人は上がった手の数を数える。
  2. 賛成する代理の票
    日弁連の人は上がったカードに記入されている数を数えて合計する。
  3. 賛成する弁護士会の票
    日弁連の人は「会長」と書かれたカードを上げている手の数を数える。
  4. 反対する出席者の票
    以下、1~3で述べた手順と同じである。
  5. 反対する代理の票
  6. 反対する弁護士会の票
  7. 棄権する出席者の票
  8. 棄権する代理の票
  9. 棄権する弁護士会の票

以上が精密採決を行う場合の手順である。

もめていない議案は、精密採決せずに賛成多数を議長が認めることもある。

議決権を分散行使する場合は、反対、賛成、棄権の各票の投票機会の都度、各票数のカードを持って手を上げて投票することになるので、上げたり下げたりと忙しくなる。

(以上、間違いがあればご指摘いただきたい。)

 

問題点その1

個別の議案について賛否を明らかにする形式の委任状による投票が一般的になればいいのではないかと思っていたが、問題はそれでは済まないようである。

委任状による投票がメインである限り、委任状提出の有無や、その投票内容は他の人に分かってしまう。すなわち、投票の秘密が保障されないという問題がある。結局、自由に投票したくても、ボスの命令だとか派閥のしがらみなどから逃れられないことが多いだろう。

当職はそのような問題の存在に気が付けなかったので、遺憾であった。

それで、もはや技術的にも難しくないので、電子投票を実施しろとかという意見も聞こえてくる。今後の課題であろう。

 

問題点その2

なお、電子投票などの導入で投票率が上がったところで、変化は起きないであろうという意見も聞かれる。

沈黙している者が最大多数であることには変わりないだろうから、ある程度はそうだと思う。総本山に噛み付いて盛り上がっているのは、一部の変わった人であろう。

しかし、委任状集約の原動力と思われる、大規模会における派閥の求心力が今もなお維持されているかどうかは、真面目に考察すべき問題である。バラバラになった若手が糾合するきっかけがひとたび生じれば、どこかで雪崩が起きる可能性はある。

そういう可能性も見据えて、宥和的に連合会の運営をしていってほしいと願うのだが、大丈夫だろうか。

誰が船長になっても、大きな船を立て直すことは難しい。舵取りを間違えて本当に沈没しないか、大変不安である。